【PSEマーク(電気用品安全法)とは?】中国から電化製品を輸入する際の注意点

キッチン

今回は、中国輸入OEMビジネスをしている人であれば、だれもがぶつかる「PSEマークって何なの?」問題についてお伝えしたいと思います。

生活しているとあまり気にしないですが、一般的な家庭用の家電の裏側によく付いているあのマークです。

今回は、

  • PSEマークって結局なんなの?
  • どんな商品に必要なの?
  • PSEマークが必要な商品はどうすればいいの?

など、そんな疑問にお答えしたいと思います。

今後の商品リサーチで、もしPSEマークが必要な商品が出てきた場合のためにも、ぜひ概要を把握していただければ幸いです。

そもそもPSEマークとは?

PSEマークとは【Product+Safety+Electrical appliance & materials】の頭文字で、電気製品が原因の火災や感電などから消費者を守るために施行された電気用品安全法に基づいています。

通電商品はとても便利なものですが、品質上問題があったり、使用方法を間違ってしまうと、火事や感電、火傷などにつながってしまうため、それを防止するために作られた法律です。

ちなみに、該当商品としては以下のような電気製品ですが、日常生活で使う電化製品については、ほとんどのケースでPSEマークが必要です。

  • 電気調理器具
  • 保温器
  • ポット
  • コーヒーメーカー
  • 冷蔵庫
  • 電子レンジ
  • 食器洗い乾燥機
  • ドライヤー
  • カーラー
  • アイロン・プレス
  • 洗濯機
  • 換気扇
  • 掃除機
  • エアコン
  • 扇風機
  • 加湿器
  • 電気ストーブ
  • ホットカーペット
  • 電動草刈機
  • 電動工具
  • 電動おもちゃ
  • テレビゲーム機など
  • 蛍光灯
  • 電灯
  • スタンドなどの照明機器
  • テレオ
  • ラジカセ
  • ビデオデッキ
  • DVDプレーヤー
  • テレビ
  • マッサージ器
  • 高周波脱毛機
  • 磁気治療器etc

国内で、国内メーカーが製造・販売している商品を仕入れて、ネットショップなどで小売店として販売する場合は、すでに国内の製造メーカーが取得しているはずなのでなんの問題もありませんが、ご自身でアリババの工場から輸入して、Amazonで販売するといった場合は、PSEマークの取得が必須です。

菱形:特定電気用品

PSEマーク(特定電気用品)

菱形のPSEマークは、特定電気用品に必要なマークで、高い安全性を求められる電気製品で、特定電気用品と呼ばれます。

一般財団法人電気安全環境研究所(JET)などの政府に認定された検査機関による認証が必須で、例えば、電線や配線器具、変圧器や電熱器具が該当します。

丸型:特定電気用品以外の電気用品(それ以外の電気用品)

PSEマーク

丸型のPSEマークは、特定電気用品に該当しないその他の電気用品で、ACアダプタや電源タップ、電源ケーブルを用いた家電で、第三者機関による認証は任意で、外部の検査機関もしくは自主検査が行われています。

以前、Amazonでも問題になっていたモバイルバッテリーは、この丸型のPSEマークの品目に含まれ、菱形に比べると、検査基準も緩めで、自主検査でいいので検査項目数もメーカーによって異なります。

PSEマークの申請方法

PSEマークは、認証番号があったり、免許があったり、試験を受けたりするものではなく、必要であれば検査を行い、申請をする、届出制です。

なので、通電商品を輸入するのであれば、ご自身で必要かどうかを確認し、経済産業省に対して「PSEマークが必要なこの商品を輸入・販売します」といった、あくまで、申請して電気用品にマークを表示する、というだけのことです。

具体的なPSEマークの申請方法は以下のようになっています。

1. 国への事業届出

電気用品安全法 法令業務実施ガイドというものが経済産業省から公開されているので、販売したい商品が2種類のうちどちらに該当するのかを調べましょう。

各地域の経済産業局産業部消費経済課製品安全室というところに問合せすることもできます。

2. 適合性検査(特定電気用品の場合)

菱形PSEマーク(特定電気用品)の場合、検査機関にPSEに適合できる商品を製造できる工場かどうかをチェックしてもらいます。

中国で製造したものを輸入する場合、工場や代行業者へ適合性検査を依頼することになりますが、工場もいまいち把握していないことが多いので、代行業者に確認するのがオススメです。

実物を検査する「技術基準への適合性の確認」と、現場検査である「製造工場などの検査設備の確認」の2つが必要で、日本国内の基準をクリアしていれば、証明書が発行されます。

丸型PSEマークの場合、適合性検査は不要ですが、インターテックジャパン株式会社のような中国側の検査機関がありますので、そのような機関を利用して、念のためチェックをしてもらうと安心ですね。

3. 自主検査

届出を行った家電製品は、出荷するすべての商品を自主検査する必要があります。

適合性検査の証明書に記載がある工場で行うよう定められているので、僕たちのような輸入業者の場合は、中国側の工場に依頼して、全数検査をしてもらい、検査記録の作成を行わなければいけません。(検査記録は3年間保管が必要)

この検査については、1〜2ヶ月くらいの時間がかかり、基準をクリアできる工場が見つからなかったり、自主検査で不合格になった場合、製造工場や設計自体の再検討となるので、さらに時間がかかります。

検査項目としては、製品により異なりますが、外観検査、絶縁耐力検査、通電検査の3つは必須となっています。

4. PSEマークの作成・表示

検査に通れば、PSEマークを作成、実際に商品に表示することができます。

i. 記号

メインとなるPSEマークのフィントサイズやカラー、枠の大きさなどは自由ですが、あまり大きく変えすぎると認識してもらえない可能性があるので注意しましょう。

ii. 届出事業者名

ここで表示するのは、原則、正式名称(法人名もしくは個人事業主であれば氏名)ですが、事前に承認されていれば別の略称や登録商標でも表示可能です。

iii. 登録検査機関名称(特定電気用品の場合)

こちらも、原則、登録検査機関の正式名称を表示しますが、登録検査機関が承認を受けている略称や、届出を行った登録商標の場合は、正式名称でなくても表示可能です。

iv. 定格電圧、定格電流等の諸元

表示が必要な内容や表示方法は、電気用品によって異なりますので、ご自身の商品にあったものを表示しましょう。

  • 電線、電気温床線 → 別表第1の附表第27
  • 電線管類及び附属品並びにケーブル配線スイッチボックス → 別表第2の附表第27
  • ヒューズ → 別表第3の附表第5
  • 配線器具 → 別表第4の附表第7
  • 電流制限器 → 別表第5の附表第3
  • 小形単相変圧器、電圧調整器及び放電灯用安定器 → 別表第6の附表第4
  • 小形交流電動機 → 別表第7の附表
  • 電熱器具、電動力応用機械器具、光源及び光源応用機械器具、電子応用機械器具、その他の交流用電気機械器具 → 別表第8の附表第6
  • リチウムイオン蓄電池 → 別表第9の附表第2

経済産業省「届出・手続の流れ」より(2023年6月現在)

PSEマーク無しで販売した場合、どうなるの?

電気用品安全法の規制により、PSEマークのない電気製品の製造・輸入・販売は禁止されています。

PSEマークが必要な商品にも関わらず、販売してしまった場合は、違反した罰則として、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、又はこれを併科など、大企業による悪質重大な違反などの場合は、最高1億円の罰金が科される場合もあります。

中国から仕入れをする際の注意点

アリババで工場リサーチをしていると、すでに「PSE対応」と書かれている商品を見ることがあります。

実際に購入してみると、PSEマークのシールが貼られていたり刻印されていたりしますが、PSEとはそもそも日本国内の事業者が申請をして表示するものですので、中国の工場や商社がPSEマークに対応している(申請している)ということはあり得ません。

必ず輸入販売元である私たちが申請し、表示をする必要があります。

先ほどのAmazonで販売するまでの流れの中で、「検査機関にPSEに適合できる商品を製造できるかどうかをチェックもらう」というのがありましたが、あくまで、PSE該当商品を製造するラインとして適しているか、というだけの検査です。

実際に輸入して販売する場合は、当事者であるあなたが自主検査を行い申請をする必要があり、また、PSEマークには販売元の会社ロゴや会社名も必ず併せて表示されているはずですので、PSEマークだけではなんの効力もありません。

もし中国の工場から「この商品、もうPSEマークあるよ!」なんて事を言われたら、あなたを騙そうとしていると思ってもらっていいでしょう。

JETマークとは?

PSEマークとJETマーク

時々、PSEマークの横に付いているJETというマークを見たことがあるかもしれませんが、これは、先ほども菱形PSEマークの説明の時に出てきましたが一般財団法人電気安全環境研究所のことで、PSEの適合性検査をはじめ、JISマーク認証なども行っている信頼度の高い検査機関です。

ただ、国が定める検査基準にクリアしていれば問題ないので、JETである必要はありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

結構、内容がボリューミーになってしまったので、「PSEマークが必要な商品をやろうと思っていたけど、やっぱりやめよう」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、面倒臭いからこそ美味しい商品に化けるわけなので、この記事読んだだけでシャッターを下ろさずに、ぜひ、真っ向勝負で商品リサーチしてみてください。

結局のところ、コンセントが必要な家電製品にかんしては、PSEマークが必ずいるということなのですが、申請するためにお金も時間もかかるので、1商品目はさっさと成功体験を作って、2商品目で、PSEマークなどの参入障壁が高めのアイテムを扱ってみる、というのもありだと思います。

またPSEの自主検査について不明な点があれば、専門のコンサルティング会社さんもありますので、一度調べてみることをオススメします。